1、結成準備会を作ろう

組合作りの一般的なステップの第一歩として、結成準備会を行います。

もちろん最初は、組合作りを考えている信頼できる仲間と一緒に定期的に会議などを行いながら準備を進めます。

埼玉医労連では、一般的に、結成準備に当たっては医労連の個人加盟組合に入っていただいて、準備会のお手伝い、アドバイスなどをしております。

また、組合作りを進める上での学習をしていくことも大切です。

結成準備会の中では、労働組合のテキストなども使用しながら、学習を行い、準備を進めていきます。

結成準備会の立ち上げから、組合の結成まで、組合作りの協力者を広げながら、次の準備を進めていきます。

2、規約を作ろう

規約とは、会社でいう定款のようなもので、労働組合運動の基本的なスタンスや指針を定めた、すべての組合員が守るべき“憲法”のようなものです。

規約では、労働組合法5条の定めで、次のものを規定することとしています。

①名称
②主たる事務所
③組合員は、労働組合のすべての問題に参与する権利及び均等の取り扱いを受ける権利を有すること
④何人も、人種、宗教、性別、門地又は身分によって組合員たる資格を奪われないこと。
⑤組合役員は、組合員の直接無記名投票によって選挙されること。
⑥総会(定期大会)は、少なくとも毎年一回開催すること。
⑦財政、使途や主要な寄附者の氏名、現在の経理状況を示す会計報告は、組合員によって委嘱された会計監査人による正確であることの証明と共に、少なくとも毎年一回組合員に公表されること。 ※通常の組合は役員選挙で会計監査委員を決めます。
⑧同盟罷業(ストライキ)は、組合員又は組合員の直接無記名投票により選挙された代議員の直接無記名投票の過半数による決定を経なければ開始しないこと。
⑨規約は、組合員の直接無記名投票による過半数(埼玉医労連の加盟組織には3分の2以上の要件を求めています)の支持を得なければ改正しないこと。

上記の要件を満たさなくても労働組合を作ることはできますが、労働委員会など公的な機関の仲裁や救済を得るときには、上記の資格要件のある組合であることが求められます。

また実際には、規約では組合の目的や組合員の権利義務、福利厚生の定め、統制規定(罰則)などを設定しているのが一般的です。規約は労働組合全体の“憲法”ともいえる最重要な約束事だけに、しっかりと仲間と議論して作ることが大切です。

2、仲間作りを進めよう

労働組合は、どれだけ多くの仲間が組合員かで経営者と団体交渉における力関係が決まってきます。

このことを、よく「数こそ力」などといいますが、たくさんの仲間を集めて、職場の仲間の具体的な声を背景に交渉すれば、当然、経営者も要求を無視はできなくなってくるわけです。

組合作りをこころよく思わない経営者も多数いる懸念もありますから、経営者には内緒で、身近な信頼できる仲間から声をかけ、賛同者の輪を広げていきます。

同僚の理解や賛同を広げるためには、労働組合作りを通して何を実現していきたいのか、要求作りやアンケートなども集めて、経営者に要求してもの、労働組合としての目標なども定めていきます。

3、役割分担と結成後の役割分担を

労働組合を作るに当たっては、結成後に組合を運営していくための「執行委員」を決めていくことが必要です。

具体的には、

執行委員長 : 組織のトップ、かじ取り役、重要な会議の主催・進行役
副執行委員長: 執行委員長が欠けるときなどに執行委員長の任務を代行する
書記長  : 組合の総務、予算・会計の管理、会議レジュメや資料作り、各種調整書記次長 : 書記長の任務の補助
会計監査委員:会計の執行・管理・運営のチェック、監視機関

を決めることになります。

副執行委員長や書記次長は、組合の大きさや規模によりおかない場合もあります。どの役職を設置するかは、組合の規約の中で決めることになります。

書記長の任務は膨大になることが多いため、書記次長が書記長の業務の一部を分担するのが一般的です。

副執行委員長は、組合の「顔」である委員長の任務の補助を行います。たとえば機関会議や交渉、労使協議の進行などで委員長を欠くときは、副委員長が先頭に立ち運営を行います。

上記の説明だけだと、委員長、書記長の任務がやたらに重過ぎると誤解されがちですが、どこの組合でも、実際には一般の執行委員も交えて、役割分担を行っています。

以上の役員が決まったら、結成大会の中で、参加者による承認決議を行い、執行委員に就任します。

組合結成以後は、執行委員選挙を実施して、役員を決めることになります。

4、結成大会を行おう

結成準備会で①役員の候補者、②規約案、③その他の決議事項、④埼玉医労連や地域労連などへの加入などを決めたら、新組合の加入予定者が集まって、結成大会を行います。

結成大会で、規約と役員が承認されれば、これで組合は完成です。

埼玉医労連で結成支援をする場合には、上記の事項の他、大会結成時の宣言や経営者に対して提出する要求事項などについても討議して、労働組合の目標などを確認してから活動をスタートしています。

5、組合を作ったら行うこと

ここで書くことは組合結成後、一般的によく行われることですが、組合によって違いもあります。

①経営者に、労働組合の結成通告を行う
組合を結成したことを使用者に知らせます。その際に、結成通告所などで労働組合を作る権利が憲法や労働組合法で保障されていること、組合員に不利益なことを行ってはいけないこと、お互いに正常な関係のもとで交渉し、労使合意で問題の解決、職場の労働条件などを良くしていくことなどを経営者に申し入れし、懇談などを行います。
※一般的には、労働組合の結成通告と同時に、要求書の提出と、団体交渉の日程を申し入れます。

 

②仲間作りを進める
結成準備の段階では加入を呼びかけていなかった同僚などにも、組合の加入を呼びかけ仲間作りの運動を一斉に行います。

③適宜、執行委員会や職場集会を行う
何事も最初が肝心です。新たに組合に入った仲間への組合説明会、団体交渉や今後の行動指針の確認など、意見交換の場なども交えながら、第1回目の団体交渉へ向けた準備を進めます。